Day_25 : 人口と災害 【1】 [Japanese]

人口と災害についてこれまでどのような研究がなされてきたか。まず基本的に災害とは人がいなければ災害にならないという前提を押さえておかなかえればならない。ユネスコの自然災害の定義では、natural hazard とnatural disasterと分けている。すなわち、自然現象と自然災害として分けて説明しているが、例えば、地震が起こってもそこに人がいなければ災害とはならないことからも自明のことであろう。以上を踏まえたうえで、これまでの人口と災害に関する研究について俯瞰すると、大きく社会変動及び指標研究が研究上重要な役割をはたしてきたといえる。
社会変動に関する研究としては、古典的には、災害のコミュニティに与える影響を比較的長期的な視点で研究するもので、人口の変化の検討が大きな役割を果たす。Bates等*は、災害は災害前のコミュニティの状態を加速するものであることを指摘しており、具体的な事例として、アメリカのハリケーンによって黒人地域が消滅していく過程を考察している。また、秋元**も、北海道洞爺湖の温泉街の復興について、火山災害がトリガーとなって、人口が急速に減少した状況について紹介している。
また、2005年のハリケーンカトリーナ災害後は、特に気候変動との関係で語られることが多くなった。 *Bates  **R.Akimoto 適宜追加します。