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Day_19:POCT 概略 [Japanese]

2015年の仙台会議で防災対策としてPreparedness(事前準備)とbuilding back better(よりよい復興)の重要性が強調されましたが、POCT(臨床現場即時検査)*はまさに今必要とされている災害対応の具体的かつ実践的な処方箋の一つであることは間違いないと思います。

POCTとはいったい何か、どんなメリットがあるかについて、一例をあげると、災害現場では、まずトリアージによって、患者を選別するかと思いますが、医師も人間ですので、瞬時にすべて上手く選別するにも限界があります。これが深刻な問題となっています。2005年の尼崎の列車脱線事故ではその問題が指摘されました。さらにいえば、緊急治療群として適切に赤タグを付けられた場合でさえも、そのグループに多数がいる場合、その中で誰を優先に搬送すればよいかなどの優先順位の問題が生じます。災害時には、医療は緊急性が優先されるために、瞬時の医師の判断が要求されますが、上手く分類するには、それだけの知識と経験が必要ですし、さらに上手く分類できたとしてもそのなかで優先順位をつけなければなりません。POCTは、この問題を解決に大いに貢献します。つまり、迅速に対応できる簡易臨床検査によって、これまでの経験による判断に数値的な裏づけが加わることを可能にします。そしてその事例も多くあります。**個人的には、将来POCTは、人口知能と結びつき、より効果的な医療が行われるのではないかと考えています。

なお私は災害の研究者であって災害医療については、まだ初心者です。もし間違いなどありましたらご指摘くださいませ。連絡先は、とりえず、リンク先のClass紹介サイトに示しています。

災害医療としてのPOCTに関する本を少しづつ紹介してみたいと思います。日本にはまだ適当な本が見当たらないため、以下の本の内容を中心に紹介していきます。

Source Book:
Kost, G. J. (n.d.). Global point of care: Strategies for disasters, emergencies, and public health resilience.

https://www.aacc.org/store/books/9200/global-point-of-care-strategies-for-disasters-emergencies-and-public-health-resilience

災害対応におけるPOCTの世界戦略(案)

<全体像>
本書は、災害対応に関わる世界のPOCT(Point of Care Testing : 臨床現場即時検査)に関する108の事例を55章にて紹介しており、将来の災害、疫病、緊急医療、及び公衆衛生に対するしなやかな対応力(レジリエンス)を高めるロードマップを提供している。ロードマップは、専門家に対してだけではなく、コミュニティにおるすべての人への災害、疫病、緊急事態、さらには、公衆衛生の危機的状況に際してのガイドとなる。それだけではなく、個人の健康戦略の構築にも役立つはずである。本書は、主に次の10項目の内容から構成されている。
第一は、POC (Point of Care)の現状及び将来の方向性
第二は、POCの基本的な概念の紹介
第三は、処方箋と処置を促進する工夫
第四は、命に関わる危機的状況にある患者への迅速な処方箋
第五は、POC検査器具の保守管理
第六は、災害準備体制やレジリエンスを高めるためのPOCの活用
第七は、GIS(地理情報システム)との融合による防災計画に対する貢献
第八は、過去の災害経験のPOCへの貢献
第九は、将来のコミュニティにおける災害準備体制やレジリエンスに関する情報
第十は、POCT(臨床現場即時検査)の戦略、公衆衛生政策、及びガイドラインの紹介

*Point of Care Testing
POCTについては、下記の日本臨床検査自動化学会の定義を参考にしました。
http://www.acute-care.jp/learning/course/immunoassay/poct/16041801.html

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